CPM倫理規定

IREMは、1933年、世界大恐慌後の混乱していた米国で、非倫理的商習慣に反対する責任感のある不動管理士の団体として創立されました。当時の米国では不動産管理士の地位は非常に低かったため、IREMは地位と品位の向上のために倫理を制定、厳しく施行する仕組みを作り、今日までに業界と顧客からの信頼を得てきました。

このような背景から、現在でもIREMは倫理を非常に大切にしており、倫理は団体や業界の成功と同時に、不動産管理士のビジネスの成功にも重要であると説いています。

IREMが発行する資格であるCPMⓇ、AMOⓇ等について、それぞれに倫理規定が定められています。これは、参加するすべてのメンバーの約束ごとです。

序文

この職業倫理規定の目的は、不動産管理の専門家の正直さ、誠実さ、専門家としての意識、能力に対する一般社会の信頼度を高め、維持することです。不動産管理協会とそのメンバーは、この規定とその条項の順守が、一般社会に益をもたらし、不動産経営管理士® のメンバー、CPM®候補者、認定居住不動産管理士® のメンバー、認定商業系管理士のメンバー、準会員とその他の会員、全国的また国際的不動産専門職協会や職業団体、顧客、従業員、また一般社会の間で、お互いに有益な関係を継続的に作り出すことに貢献すると考えます。

IREMは、不動産管理の職業団体として、不動産業界のあらゆる領域と協力し、一般社会の利益を守り高めようとしています。このために、協会のメンバーはこのような職業倫理規定を採択し、またメンバーシップの条件としてこれに従います。

IREMメンバーの誓約

  • IREMメンバーの互いの努力や、その他の正当な方法で、プロフェッショナルな不動産管理の推進を図ることを約束します。
  • 協会の目的や高い目標に沿った最高の道徳と倫理基準を維持することを約束します。
  • 他メンバー、または私のビジネスや職業人生の一員となるすべての人たちと、公平な、信頼のある、協力的な関係を、求め、維持することを約束します。私は、不動産管理に携わっているすべての関係者の間の公平なビジネスや競争を保ち、推進することの必要性を認めます。
  • 何より、正直さ、誠実さ、勤勉さを大切にし、私のサービスが一般社会に役立ち、お客様に最高のサービスを提供し続けるため、勉学と継続教育に励んで仕事をすることを約束します。
  • 内規、規定、またこの職業倫理規定に書かれている、IREMの方針と宣言とに従うことを約束します。

条項1 クライアント、会社あるいは雇用者に対する忠誠

不動産経営管理士®、CPM®候補者、認定居住不動産管理士® 、認定商業系管理士あるいは準会員(以降メンバーと呼ぶ)は、常に、メンバーが関係しているクライアントと雇用者あるいは会社の利害関係に対して、忠実でなければなりません。メンバーは、雇用者とクライアントの利害関係と物件の維持と保護のために精勤しなければなりません。メンバーは、クライアントや雇用者の利害関係に反すると論理的に解釈されうる行動を取ってはいけません。行動が、会社あるいは雇用者と、クライアントとの間の利害関係に対立するものとなった場合は、クライアントの利害が優先されます。

条項2 守秘義務

クライアントの事前署名がなければ、また、適用法や規定によって開示が義務付けられていない限り、メンバーは、クライアントのビジネスや私事を害するあるいは損害を与える、極秘あるいは専有情報を第三者に公開してはいけません。

条項3 経理と報告

管理契約条項に沿って、メンバーは、クライアントのために管理している資産一つ一つに関する、正確で監査可能な財務および業務記録と書類を提出するために、正当な努力をし、これらの記録は、いつでも適当な時間にクライアントが点検できなければなりません。メンバーは、管理しているクライアントの資産について、クライアントと合意した頻度で、定期レポートを提出します。メンバーは、クライアントの資産や関連取引についての実質的な事実を隠したり、偽って伝えたり、大げさに言ったりしてはなりません。

条項4 資金の保護

メンバーは、常にクライアントの受託者として働き、個人や会社の資金をクライアントの資金と混ぜる、あるいは一人のクライアントの資金を他のクライアントのために利用してはならず、クライアントの資金は、クライアントの書面による指示に従って保管するか、保険付の金融機関の信託口座に保管しなければなりません。メンバーは、常識的に予測できる臨時支出や損失などから、クライアントの資金を守り、維持するよう、常に最大の努力をします。

条項5 他業者との関係

メンバーは、不動産管理協会のメンバーの業務に関して、偽りのあるいは誤解を招く恐れのあるコメントをしたり、それを許したり、あるいは奨励したりしてはなりません。メンバーは、その本業において、真実に実質的事実を述べなければなりません。メンバーは、他の不動産業者の提供するサービスと比較して、自分のサービスを大げさに言ったり、偽って伝えたりしてはいけません。しかし、この規定は、CPM®間の正常な合法的範囲内の商戦を制限するものではありません。

条項6 契約

文書によるメンバーとクライアントの間の契約は、メンバーの提供するサービスと責任とに関する一般的な記述を含めて、両者が合意した具体的な内容を、明確に分かりやすい表現を使って記述しなければなりません。

条項7 利益相反

メンバーは、クライアントや雇用者の利害と相違するあるいは相反する個人的あるいは仕事上の利害関係を持ってはならず、クライアントあるいは雇用者が事前に文書でその活動あるいは潜在的利益相反について通知を受け、その関係について文書で承認しない限り、直接的にも間接的にも、クライアントの利害関係に相反すると見られる可能性がかなりあるリベート、料金、コミッション、割引、あるいは金銭的であるかどうかに関わりなく、その他の利益を受けてはいけません。

条項8 クライアントの資産の管理

メンバーは、クライアントの資産の維持と管理に当たり、常識的に予測できる臨時支出や損失などから、クライアントの物件を守るよう、最大の努力をします。

条項9 過去のクライアント、会社、雇用者に対する義務

この規定に納められているクライアント、会社、雇用者に対するメンバーの義務と責任は、過去のクライアント、会社、雇用者に対しても適用されます。どのような理由によって、メンバーとそのクライアント、会社、雇用者の関係が終わったとしても、メンバーは、プロフェッショナルな態度で行動します。しかし、この条項は、決して、メンバーの現在のクライアント、会社、雇用者に対する義務や責任に違反させるような内容であると解釈すべきではありません。

条項10 法律と規制の順守

メンバーは、常に、適用法や規制を知り、順守して、仕事や個人的行動を取らなければなりません。

条項11 機会均等

メンバーは、人種、肌の色、宗教、性別、家族構成、国籍、年齢、性的指向、障害のゆえに、均等な雇用機会や均等な事業提供を拒んではならず、機会均等に関するすべての適用法と規制を順守しなければなりません。

条項12 テナントその他に対する義務

メンバーは、クライアントの物件を有能に管理し、クライアントの敷地に合法的に存在するテナントや入居者とその他の人の権利、責任、利益を配慮します。メンバーは、クライアントの土地などに合法的に存在する人の安全や健康を害するような行動に故意に関与してはなりません。

条項13 報告義務違反

各メンバーは、他のメンバーがこの職業倫理規定を破ったことを論理的に示唆する重要な事実情報を、不動産管理協会に提出する責任を持っています。そのような情報は、不動産管理協会内規と規定に概説されているように、提出しなければなりません。

条項14 施行

この規定を順守しているかどうかの解釈は、IREMの倫理懲戒委員会の責任です。いかなるものであろうと、メンバーによるこの規定の義務の違反と、規定の違反に対する処分は、不動産管理協会の内規と規定の条項に沿って判断され、施行されます。懲戒は、訴えられたメンバーにとって、拘束力を持った最終的なものであり、IREM、IREMの役員、運営議員、メンバー、被雇用者や代理人に撤回を求めることはできません。

2007年1月

倫理に関する相談窓口

IREM JAPANは、IREM本部から委任をされ、倫理の窓口を設けております。

IREM本部サイトはこちら
https://www.irem.org/membership/ethics#Complaint

事案を提出される前に必ず「IREM職業倫理規程」をご一読くださいますようお願いいたします。
「IREM職業倫理規程」PDFダウンロード

倫理懲戒ボードへの事案のある方は、「倫理訴状」を添付して、下記メールにご連絡ください。
【担 当】 IREM 米国本部 Megan Beckerich
【メール】 japanethics@irem.org
「倫理訴状」wordファイルダウンロード 
「倫理訴状」英語版wordファイルダウンロード